あぁ夢心地

吉澤ちゃんが隣にいる
あたしの右できっと笑顔を作ってる
あやちゃんはあたしの左で
やっぱりきっと笑顔を作ってる
一緒に写真を撮って下さって
ありがとうございます!


スタッフさんが『握手をどうぞ』と促してくださるの
そ そうよね 握手よね
まずはあやちゃんから


ぷあ――――――――ッ!
考えていたこと言えなかったー
「どうも…」とか言いながらしばし見つめてしまったわ
致し方ない
きれいな女の人だし
あたしそういう免疫ないんだよー!


さぁ吉澤ちゃんよ
もう手の感覚なんて分からない
テンパってはいけない!
テンパってはいけない!
日本語を話せ!
日本語を話せ!
平常心!
平常心!


「今日はケサランパサランを持ってきました」
『お――――――――!』

もうそれだけで玉は充分です
去年の手紙に「ケサランパサランをお渡しする」と書いて
そのままになっていたの
絶対頭に【?】マークを5個くらい飛ばすと思っていたわ
たとえウソのリアクションでもいい
あたしはとても嬉しかったのよーッ!!


あたしの持ってる全てのケサパサちゃんを
差し上げた甲斐があるというものだわ
吉澤ちゃんには笑顔が似合うから
いっぱいしあわせになってほしいから


「箱を開けるとき そーっとそーっと開けてくださいね」


身振り手振りで説明するあたしに
うん うんと耳を傾けてくださる吉澤ちゃん
吉澤ちゃんはいい人ッ!!!!!
吉澤ちゃん最高ッ!!!!!


あまりだらだらと居続けるとかっこわるいから
サッときびすを返し
荷物と写真を受け取り
さわやかに出口に向かったわ


今日のあたし
イケてんじゃなーぁい?
扉の寸前で振り返ってもみたわ
今日のあたし
余裕じゃなーぁい?


パーフェクト!
達成感!
完璧でーすッ!


あら?
扉 あか…ない?
あ あれ?あれれ?
おろおろしてるとスタッフさんが
『右のとびら押してくださ〜い』
あああ そ…そうね そうよね
スタッフさんにお礼を言い
無事外に出たわ
あちっ